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神戸地方裁判所 昭和63年(わ)938号 判決

本籍

神戸市灘区八幡町三丁目一四番地

住居

同区八幡町三丁目二番三号

会社役員

勝間利雄

大正五年六月一日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官高橋勝出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年四月及び罰金六、〇〇〇万円に処する。

被告人が右罰金を完納することができないときは、金二〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

本裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、神戸市灘区深田町四丁目一番三九号において「東天会館」の名称で、同区桜口町三丁目二番八号において「天竜遊技場」の名称でそれぞれパチンコ店を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、売上の一部を除外するなどの方法により所得の一部を秘匿した上、

第一  昭和六一年分の実際の総所得金額は二億五六五万二、二六六円で、これに対する所得税額は一億三、一三二万四、四〇〇円であるにもかかわらず、同六二年三月一一日、同区泉通二丁目一所在の所轄灘税務署において、同税務署長に対し、同六一年分の総所得金額が六、〇六四万八、六六一円で、これに対する所得税額が三、一〇七万二、〇〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により、同年分の正規の所得税額一億三、一三二万四、四〇〇円との差額一億二五万二、四〇〇円を免れ、

第二  昭和六二年分の実際の総所得金額は三億七、四三八万一、三八七円で、これに対する所得税額は二億一、六九五万三、三〇〇円であるにもかかわらず、同六三年三月一五日、前記灘税務署において、同税務署長に対し、同六二年分の総所得金額が五、七六九万三八五円で、これに対する所得税額が二、七一六万六、七〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により、同年分の正規の所得税額二億一、六九五万三、三〇〇円との差額一億八、九七八万六、六〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書(二通)及び大蔵事務官に対する質問てん末書(二五通)

一  佐藤芳宏の検察官に対する供述調書及び大蔵事務官に対する質問てん末書(四通)

一  中橋道和の検察官に対する供述調書及び大蔵事務官に対する質問てん末書(二通)

一  勝間モモヱの大蔵事務官に対する質問てん末書(二通)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料

一  大蔵事務官作成の査察官調査書(検甲7号、8号、10号、12号ないし21号、23号、25号、26号)

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(検甲1号)

一  大蔵事務官作成の査察官調査書(検甲9号、11号、22号)

一  所得税確定申告書謄本(検甲3号)

判示第二の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(検甲2号)

一  大蔵事務官作成の査察官調査書(検甲24号)

一  所得税確定申告書謄本(検甲4号)

(法令の適用)

一  判示各所為 いずれも所得税法二三八条(懲役刑と罰金刑の併科)

一  併合罪 刑法四五条前段(懲役刑については同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に加重、罰金刑については同法四八条二項により判示各罪所定の罰金額を合算)

一  執行猶予(懲役刑につき) 刑法二五条一項

一  労役場留置 刑法一八条

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 東尾龍一)

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